龍馬くん11歳。クロくん1歳。

飼い主様が介護施設へ入ることになり、既に里親様の元に貰われていったサビ猫ののんちゃんと一緒に施設にやってきました。

名前は元々飼い主様が坂本龍馬にちなんで龍馬くんと名付けていました。
保護した時にちょうど龍馬伝が放映されていたそう。

龍馬くんはとても身体が大きく、飼い主様のおうちに伺い龍馬くんが入ったキャリケースを持ち上げた時も思わず「おっも〜〜っ!!笑」と言ってしまったほどです。

龍馬くんはとても優しい子で、施設で暮らす子にシャーと言われてもやり返すことも逃げることもなくそのまま仁王立ち。

威嚇をしても怯まないし動かない龍馬くんが気に入らないのか、とうとう猫パンチを繰り出す子もいました。

いつも施設の僕の椅子に座り、
「龍馬? そこ俺の席よ?」と言っても動いてくれないのが日常となっていました。

たまたま施設の前を通り掛かり、僕が
「良かったら覗いていきますか?」と声をかけ見学してくださったS様。

少し前に飼い猫を亡くし、その子が龍馬くんと同じ柄で龍馬くんと同じように大きかったそうです。

また後日、おうちの猫ちゃんの遺品を支援物資として施設に持ってきてくださいました。

さらにその後、ご家族も連れて施設へお越しくださいました。

龍馬くんと遊んでいると、割り込むように
「僕も遊んでー」とやってくるのは1ヶ月前に保護した黒猫のクロくん。

クロくんは元々飼われていた子でしたが捨てられ、ゴミ箱を漁りながら生き延びた子。

運よく心優しい地域猫活動をしている餌やりさんのところへ辿り着くことができました。

過去最高レベルの甘えん坊。

地域猫活動の方も、ここまで人懐っこいと虐待の対象となる恐れがある。
飼い猫だったことから餌の取り方をわかっていないかもしれない。ということで当施設でお預かりし、里親様を募集しておりました。

結果龍馬くんとクロくんのお迎えを希望してくださいました。

トライアルがスタートし、送迎した私が帰った後2匹はしばらくソワソワしていたようです。

トライアル期間中に一度お家を尋ねたのですが2匹ともすぐに近寄り甘えてくれました。

そしてトライアルが終え正式譲渡当日、まさかの2匹が駆け寄ってきません。

クロくんはしばらくして頭を擦り寄せてきましたが、龍馬くんは別の部屋に引っ込んでしまいました。

里親様とお話をしていると龍馬くんは2、3日元気のない日があったようです。

里親様はこう言います。
「ひょっとすると、この家に来た事によってもう元のお家に帰れないことがわかったのかも・・・」

私の施設はあくまで施設なので、家の部屋のような作りではありません。
生活雑貨があったり、座布団やソファーやタンスという生活感がありません。

心のどこかで、『今はこの施設で預かってもらってるだけ、きっと元のお家に帰れる』と思っていたのかもしれない。

施設で暮らしていた1年間ずっと待ち望んでいたのかもしれない。

これはどこまでいっても想像、妄想のお話。

ただもしそうだとすると胸が掻きむしられる気持ちになります。

僕が正式譲渡に伺って隠れたのも、もしかしたら
「せっかく新しいお家に来れたのにまた施設に戻るのはやだよ!」と逃げたのかもしれません。

里親様は何度も「大丈夫、もうずっとここにいていいいんだよ」となだめてくださっていました。

施設を家のように生活感あるものにすべきかと思いましたが、施設が新しいお家と勘違いした猫たちは貰われていくときに切ない気持ちになるかもしれません。

施設はあくまで施設。

命を繋ぎ止める場所であり、命を繋いで行く場所にしておきます。

新しいお家を夢見ている子達を励ましながら活動してまいります。

ここ最近、10才を越えた子達にお声がかかり嬉しいです。
一度は辛い経験をした子達にどうか心安らげる場所を。

今後ともどうかあたたかな応援を宜しくお願い致します。

龍馬くんはそのまま龍馬くん。
クロくんは海くんという素敵な名前を貰えました♪

▲施設暮らし最終日、お世話掛かりに甘える龍馬くん。

▲トライアル初日からくつろぐ龍馬

▲トランポリンに座りこむ海くん

▲猫扉も完備で全部屋行き来できます。

▲階段の吹き抜けを楽しむ海くん。落ちちゃダメよ。

▲2匹とも可愛い首輪もプレゼントしてもらってます

▲龍馬くん!海くん!お幸せに!!!