テン君へ。
1年11ヶ月という長い時間、施設でよく頑張ったね。
覚えてるかな。
飼い主様が交通事故で亡くなってしまったから俺がお迎えに行ったよね。
まりんとロンと暮らしていたテンは、「どこにも行きたくない!」って必死に抵抗して俺のコメカミを引っ掻いたよね。
怖かったんやよね。
飼い主様ともうお話できないから君たちの情報がわからなくて俺はいっぱい勘違いしてたよ。
唯一もらった情報は飼い主様の弟さんからの「8年前に兄の家に行った時すでにロンとテンは住んでた」ということ。
つまりまりんは新しく迎え入れた子ってことしかわからなかった。
君たちはお互いにあんまり興味がないって思ってた。
まりんとは、本当に一緒に住んでたのか!?ってぐらい仲が悪かったし、ロンともあんまり一緒にいなかったよね。
だから里親希望の声が掛かればその度、それぞれ1匹ずつ里親様になってもらった。
3匹を同じお家に貰ってもらうのはすごく難しく時間がかかってしまうし、君たちにとってもそれが良いって思ってた。
テンにお声を掛けてくれたのは、一年前にロンを迎え入れてくださった里親様。
ずっとテンのことを気に掛けてくださってて2匹目を迎え入れるならテン以外あり得ないって言ってくださってたんよ。
嬉しいね。
テンは施設では粗相が激しかったよね。
他の猫ちゃんたちと相性を合わせても粗相が止まらないから、
きっと周りに猫ちゃんがいることが不安で自分のテリトリーを守ってたんやよね。
ロンとの再会は嬉しいけど本当は猫ちゃんが苦手なのかもしれない。
施設では誰とも一緒に眠らなかったし行動も共にしてなかったからね。
心配の種である相性のことを伝えトライアルが始まって、たくさん驚かせてくれたね。
ロンや!ってすぐにわかったんやよね。
最初は警戒してたけど、顔とか匂いとかで思い出したんやよね。
それからずっと一緒にくっついてるって聞いた時嬉しくて震えたよ。
粗相も一度もしないなんて。
嬉しいって感じた後、ぎゅうって胸が苦しくなったよ。
ロンに会いたかったんやね。
ただそれだけやったんやね。
めちゃくちゃ深い絆で結ばれてたのに俺は離してしまってたんやね。
本当は二人は兄弟やったんかもね。
ごめんね。
ロンとの離れ離れの時間、辛かったよね。
本当にごめん。
時間が掛かってしまっても兄弟、親子は基本的には離してないしできる限り一緒に譲渡もしてる。
でも施設外で沢山助けを必要としてる子もいるし、今この瞬間命の灯火が消えてしまいそうな子もいる。
そのためには今施設で暮らしている子たちの施設で暮らす時間をできる限り短くしなければいけない。
命より大切なものを探すことって難しいと思ってたけど、ロンやテンにとっては離れ離れになることの方が辛いことやったんかもしれんね。
改めて自分の力不足を痛感したよ。
大きな施設だったら、時間がかかっても二人一緒にもらってもらうまで耐えてたかもしれない。
もっと宣伝力があれば二人同時に貰ってもらう人を早い段階で見つけられたかもしれない。
何より一見仲良くなさそうに見えてもそれを鵜呑みにしちゃいけないかもしれない。
もし離れ離れにしてしまうとしても兄弟や親の分まで愛情を注いでくれる人を見つける。
「お前、もっとやれよ!」ってテンは言ってくれてたのかもしれない。
反省だらけやけど、
申し訳ない気持ちでいっぱいやけど、
ロンとテンが今仲良く暮らせていることがめちゃくちゃ嬉しい。
テン、ごめんね。
少しだけ喜ばせてもらうね。
そして教えてもらったことを胸に刻んで進んでいくね。
新しい家族と幸せにね。
元飼い主のO様、そちらからご覧いただけていますか?
時間が掛かってしまいましたが、
お預かりしたロン、テン、まりんを幸せに導くことができました。
自分が幸せにしたかったと思われているでしょうね。
ですがご安心ください。
2組の里親様がO様の幸せにしたかった想いを実現してくださいます。
もう心配なさらずゆっくりとおやすみくださいね。
※活動内容はこちら
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