〈2022.9.29〉⁡
85歳の飼い主様脳卒中により半身不随

リハビリ後介護施設入居により当施設へやってきた「とら」。


飼い主様の知人であり当施設の支援者様からの相談で、知人が85歳でこの先のことを考え共に暮らす猫ちゃんたちの里親探しをしていこうと決断した矢先、
僅か3日後に家の前の道路で脳卒中により倒れられました。

今まで守ってきた伴侶動物の行き先が不安で繋ぎ止めていた気持ちが安堵に変わった瞬間、がくりと体調を崩される人がたくさんいます。

「動物は生きる活力をくれる」というのは確かにそうで
「この子たちを看取るまで何がなんでも死ねない」という気持ちは凄い底力を見せるのだと思います。

ですが自分が生きながらえるために動物を飼うことは違うと思うし、認知症防止のために動物を飼うこともまた違う。

私は動物愛護家であり、それを容認するわけにはいかない。
容認したとしたら誰が「利用された先に待つ不幸」を止められるのでしょうか。

私は社会人経験が長く人の気持ちもわかる所もありますが今は動物保護施設の人間であり、どちらかというと動物たちに比重を置きます。


前置きが長くなりました。

とらを迎えてくださった里親様。
お母様、息子様は施設へ入るなり猫ちゃんたちに語りかけ、大好きな様子がわかりました。

お父様、非常に寡黙な方です。

猫にはあまり触れ合わず、先住の猫ちゃんの話や、動物を飼うことの責任、施設へ来る子たちの保護理由を聞いてくださいました。

ですが、お父様…
私にはバレてますよ?
めちゃくちゃ猫ちゃんに触れ合いたくてたまらないのでしょう?笑

とらのトライアルが終え、正式譲渡に伺うとお母様が出迎えてくださいました。



お父様は少し遅れて登場。
また寡黙っぷりを見せるのか?と思いきや第一声が
「とらはじぃじのことが1番好きやもんな〜?🥰」でした😆



「溺愛かよ!!!」

「おいで〜とらちゃんおいで〜🥰」と自分ちだからなのか照れも威厳も皆無。
メロっメロです。

この投稿をお父様に見られたら私はボコボコにされるでしょう。

とらは呼べば必ず返事をするそうです。
「でかい図体の割にか細い声で鳴く」と仰ります。

そうなんです。とらの鳴き声は
「にゃーん」ではなく
「キャウーン」なのです。

お父様が呼ぶととらはキャウーンと近付いていきました。

その姿を見て同席していたスタッフもポロポロ涙を零しました。

可愛い首輪までプレゼントされてて。
似合いすぎてる。

テーブルの席は全部で4席。
お父様、お母様、息子様、そしてとらもいつもその席で寝ているそう。

先日投稿したミーくんと同日正式譲渡となりましたが、とらも本当にたくさん私たちを笑顔にしてくれました。

これからは里親様のご家族を笑顔にします。

そしてとらはご家族から笑顔にさせられます。

活力をもらうとか癒しをもらうとか一方的に貰うんじゃない。

お互い分け合う。

守るべき存在ではあるけど、お互い同等に幸せを分け合う。

それこそ「家族」である、と私は思います。

とら。その人たちがとらの家族だよ。
親代わりの俺たちはもう終わり。

新しいご家族に思う存分愛してもらいね🤗