今日はのらさんの49日でした。
ご報告が遅くなりましたが8月20日、腫瘍が肺にまで広がり旅立ちました。
2回目の腫瘍摘出手術から僅か2ヶ月のことでした。
のらさんの回復をお祈りしてくださっていた方がたくさんいると思い、けじめとしてご報告させていただきたいです。
K様ご夫婦のウッドテラスを寝床に決めたのらさんは6年間その場で暮らしました。
K様は寒い冬の日はふかふかのベッドを用意し、暖をとれるよう尽されました。
仕事帰りも車を停めるとK様は玄関へ、のらさんは裏のウッドテラスへ移動する。
そんな日々だったそうです。
ペット不可物件で飼ってあげることは出来なくて、それでも不自由がないよう努められていました。
ある日脇腹に大きなコブが出来ており、捕獲して病院に連れて行ったところ悪性の腫瘍が出来ており手術をしてもらいました。
それから僅か半年後、またしても大きなコブが…
同じ場所に再発しており、獣医師の話では広範囲に転移していて非常に苦しい状態との事でした。
のらさんのこれからのことを想うと様々な葛藤があったと思います。
再手術を施してもらい、入院している病院へ迎えに行かれました。
のらさんは片腕が動かなくなっていました。
腫瘍の広がりが大きすぎて神経を傷付けてしまったかもしれないとの事でした。
片腕が動かない状態なのでお外には戻せない。
そう判断されたK様は当施設へ連絡、当施設はリハビリを兼ねて保護しました。
いなずまの例もありますから、ひょっとすると動くようになるかもしれないと思いお世話しましたが、すぐに動かない手が硬直しました。
残念ながら断脚。
でものらさんは強く、三本脚で歩き、ジャンプをすることができました。
K様はお仕事が休みの日、仕事が早く終われた日、全ての時間が空いた日を、のらさんの面会に来てくださいました。
K様ご夫婦が来るとのらさんはケージから出てきます。
安心して近づける人と完全に理解しています。
開け放したケージから少しずつ室内を歩き、施設の子達とも触れ合うことができてきました。
その日、いつも通りK様が来られました。
K様ご夫婦と私でのらさんを眺めていると、「コフっコフっ」と小さく咳き込みました。
「風邪かな?K様、ちょっと今から病院に連れて行きますね」とK様ご夫婦を施設に残し、私は病院へ向かいました。
車を走らせた瞬間、咳が激しくなりました。
施設にいるK様にすぐに電話を掛け、もしかするかもしれません…!覚悟だけお願いします!
「のらさん!もうすぐ病院やから!がんばって!!」
病院へ到着し、
「先生!!かなりまずいです!!」と伝え待合室に座りケージを開けのらさんを撫でました。
一際大きい咳をしました。
その瞬間先生が診察室へ呼んでくださいましたが、のらさんは息を引き取っていました。
結果、肺にまで腫瘍が広がっているとのことでした。
切除した脇腹にも新たな大きめのシコリが既に出来ていました。
今となってはその時K様ご夫婦になんと申し上げたのか覚えていません。
K様ご夫婦も私も呆然としました。
その日の夜、葬儀の予約をし翌る日に動物霊園で葬儀が行われました。
「葬儀に立ち会ってくださるのですか?」とK様。
逆に私の方は
「葬儀に立ち合わせてもらえますか?」
とお願いしました。
ご夫婦と私の3人でお坊さんがお経を唱えられる直前にK様が小さく口を開かれました。
「飛田さん…僕はのらさんにできることを全部でき……」
そこで言葉は止まりました。
正面を向く隣のK様を見るとK様は嗚咽を漏らされていました。
奥様もK様の意外な姿に大粒の涙を流されました。
「K様はのらさんのために出来ることを全てしましたよ…」
私もまた涙を堪えることができませんでした。
葬儀後、K様は
「正直ドライな人かと思われるかもしれませんが動物のことで自分が泣くなんて思いませんでした」と仰られました。
K様にとってのらさんの存在が大きかった証拠です。
野良猫だからのらさん。
野良猫ののらさん。
野良猫ののらさんには間違いなく家族がいました。
地域猫活動をされている方はお友達によく聞かれるそうです。
「野良猫のために何故そこまでできるの?」と。
代わりにお応えさせていただくとしたらそれは……
お外で暮らしているけど間違いなく「家族」だからです。
「おうちに入れてあげればいいでしょ!」と言われる方もいます。
もちろん一つの考え方かもしれない。
「お外で生まれ、自由に生き、お外の広大な世界、空の美しさ、土の暖かさ、草花の匂い、それを既に知っている子からするとお家の中はその猫ちゃんにとって、人にとっての牢獄となり得るかもしれない」
これも一つの考え方かもしれない。
「お家の中での幸せに暮らしてもらえるように考え愛情を伝え続ける」
これも一つの考え方かもしれない。
正解が曖昧な中それでも自分ができることを真剣に探す。
この愛情は正解だと信じたい。
私はK様の愛し方を正解だったと言いたい。
のらさん。
今回掛けさせてもらう言葉はK様からたくさん聞いてるよね。
再会を楽しみに4本足で遊びながら待ってようね。