しっぽ君は元々地域猫ちゃんでしたがあまりにも人好きで、その地域の猫ちゃん達とも相性が合わず、お世話をしてくれている方から他法人様を経由し当施設で保護していた子です。

エイズキャリアの子でした。

当時当施設は白血キャリアちゃんの専用部屋はありましたがエイズキャリアちゃんのお部屋がありませんでした。

倉庫兼事務所兼ワンちゃん部屋兼仮眠室をエイズキャリア部屋としてしっぽ君を迎えました。

外猫ちゃんをお世話されている方からの
「めちゃくちゃ懐っこい子なのです…」という相談はお外での話であって最終お部屋に入れてみない限りその子がどういう性格なのか掴めないものです。

お外はいくらでも人から逃げることができますから…

お外で人慣れしていたからといってお部屋に入れた瞬間パニックになる子は多いです。
ですがしっぽ君はお部屋に入れてもパニックにならず最初からゴロゴロ甘えてきました。


しっぽ君は施設奥の部屋の事務所兼仮眠室に暮らしていたので長い時間を共にしました。

他法人様とこちらで里親探しをし、他法人様からの紹介でこの度しっぽ君は初めての家族を手に入れました。
しっぽ君は一度トライアルを失敗しています。
そのご家庭では夜鳴きが凄過ぎたそう。
今回もしばらくは夜鳴きが凄かったようです。
ひょっとして自分やボランティアさんと離れたからしっぽは鳴いているのではないか? と自惚にも近い感情を抱きます。

こうなってくると自分がしっぽを捨てた感覚になってくる。
多分、保護活動をしている人たちは似たような感覚になることもあると思う。

だってしっぽや他の保護動物たちと過ごした期間、 たとえ保護施設、たとえ仮にだとしても その期間は間違いなく家族だったから。
保護した子はみんな可愛い。 口が出る子、手が出る子、粗相してしまう子、人嫌いな子、猫ちゃん嫌いな子、みんな可愛い。愛しい。

実は終生保護型(譲渡なし)の施設をしたがっている自分もいる。
でも自分には何十頭もお世話できる能力も時間もないし、辛い想いをしている子を「助けたい」気持ちが根本で第一前提にある。

それにずっとのおうちに行けた子達の施設以上に幸せに暮らす姿を見てる。 正直、嬉しい反面嫉妬が積もる。
けどやっぱり、 トライアル期間中、心の中で『しっぽ!がんばれ!』と応援する。 すっかり夜鳴きもなくなりしっぽは新しい家族を大好きになった。

これでいい。 しっぽ、また困ってる子を迎えに行ってくるよ。
だからしっぽはもう施設に帰ってきちゃ駄目だよ。
エイズキャリアのことも受け止めて手を上げて下さった里親様のおうち。

そこで幸せになるんだよ。 しっぽ、ありがとうね。