ゲンキと読みます。
女の子、4才です。 飼い主様のご友人からの相談でした。
「飼い主が入院することになり引き取り手を探しているけど見つからない。動物愛護センターに連れていくしかないのかな…と飼い主は消沈している」とのことでした。
入院とのことでしたので、飼い主様と直接お話しすることは可能かお聞きし、その後飼い主本人とお話ししました。
聞いていた通りかなり消沈されていました。
「もう保健所に連れていくしかないのでしょうか……」と消え入りそうな声です。
残酷ですが根掘り葉掘り伺いました。
何の病か?
退院できる見込みはないのか?
退院できるなら退院するまでお預かりしてその後一緒に暮らした方が玄ちゃんにも飼い主さんにも良いのではないか? など。
もう幾度となく入退院を繰り返されているそうで、今度ばかりは…ということでした。 玄ちゃんをお迎えにあがりました。 オートロックのマンションでチャイムを鳴らします。 出ません。
私の中で最悪のケースが思い浮かびます。 『もしかして倒れられてるのか!?』 2回目のチャイム、出てくれました。 ホッと胸を撫で下ろしました。 キャリーに入れて出ていくので待ってください、とのことでしたので待ちます。 10分… 20分…… 30分……… 大丈夫か!?と思いまたもチャイムを鳴らします。
なかなか捕まえられないようで、 「お手伝いしますよ!」と言いましたが、もう少しだけお待ちくださいとのことでした。 マンションロビーへ玄ちゃんを連れて降りてきました。 驚きました。
飼い主様、もはや歩くのがやっとです。 足を引きずり、髪、髭は伸ばしっぱなし。 書類の手続きでサインをいただきましたが、ペンを走らせることもままならない様子でなんと書いているか読むのが難しいほど乱れていました。
「玄ちゃんのことは私に任せて安心して治療に専念してくださいね」と伝えました。
心を込めて力強く伝えました。
思い残る問題が解決した時、人はふっと力が抜けます。 伴侶動物を飼い主から保護した数日後に… ということが今までも何度もあります。
玄ちゃんが飼い主様の命を繋いでた可能性が十二分にある。
それぐらい伴侶動物の存在は大きい。
「身体が元気になっておうちに戻れたらご連絡ください」と伝えて施設へ帰りました。
玄ちゃん、甘えたさんで良い子です。
きっとずっと飼い主様にくっついていたんだと思います。
このお話を通して伝えたいことは 「自分に何かが起こる可能性」です。
みんな伴侶動物を愛してますよね。
その伴侶動物に辛い想いをしてほしくないですよね。
自分が死ぬ可能性を全く考えていない方が多々いらっしゃいます。 絶対に対岸の火事じゃないです。
飼い主さんと玄ちゃんが一緒に暮らしている光景を想像すると泣けてくるんです。
もうたまらんのです。
辛いんです。
これまで保護した子達、何回も飼い主さんとの光景を想像して心なんてとっくに摩耗してるんです。
私自身が楽になりたいとかそんなんじゃない。
動物達が最期まで飼い主様と共に暮らしてほしいだけなんです。
届いてほしいと願うばかりです。