2年2ヶ月。
約800日。
りっちゃんが当施設で過ごした日数です。
私たちにとって2年2ヶ月という時間は短いでしょうか? 長いでしょうか?
短いという人もいれば長いという人もいることでしょう。
学生時代の2年という期間はとても長く感じました。
中年を越えたぐらいから、「もう2年!?」とあまりのスピードに驚くことも増えてきました。
りっちゃんにとっての2年2ヶ月。
りっちゃんは間違いなく長く感じていたでしょう。
単純計算で猫と人の寿命は約4倍の差があります。
猫の2年2ヶ月は人の8年、9年に相当します。
人にとっても8年という年月は長いです。
りっちゃんはとある保健所から引き出した子です。
職員さんからは「めちゃくちゃ吐きます」と聞いていました。
吐く理由が保健所の環境のせいもあるかもしれないと思い、施設へ迎え入れましたがケージでの隔離期間中から早速吐きました。
次はケージがストレスなのかもしれない、と思い大部屋に放ってみましたが他の猫ちゃんに襲いかかるという猫が大の苦手ということが判明しました。
猫ちゃんがいない施設の倉庫兼事務所に移動しそこでフリーにしても時折まだ吐きます。
それからフードの相性を合わせ吐く回数も落ち着きました。
猫は苦手だけど人が大好きな10歳のりっちゃん。
12歳になった時、ようやく運命の家族に出会えました。
これだけ時間がかかったのは、
先住猫がいないところじゃないと難しいということ。
10歳を越えているということ。
他にもいろいろな要因がありますが、私の力不足というところが大きいです。
「成猫の里親になってくれる人をどうやって探してるの? すごい!」とお褒めの言葉をかけられることもありますが、私の力ではなく施設へ訪れた子たちから溢れ出る魅力で決定しているだけです。
それでもいいです。
私から勧められたから里親になった、というようなことになってはいけません。
そこは里親希望者様の意思で決めてもらわないと猫ちゃんたちがかわいそうです。
私はもっと、施設の存在、施設で暮らす子の存在を知ってもらうために広めるだけです。
広まりさえすれば、問題行動があろうがシニア猫であろうが、きっと運命の出会いが待っています。
だってみんなこんなに魅力的なのですから。
ここから譲渡のお話になりますが、
トライアルに行った時、やはり寂しくなります。
私にとっても2年は短くありません。
ですがトライアル期間を終え正式譲渡契約に伺った時、
寂しさや悲しさよりも嬉しいが勝ります。
里親様がおっしゃられていました。
「私ら夫婦の膝には乗らないのに娘の膝にはすぐ乗るんです」
このセリフを笑って話せるお父様、お母様が私は大好きです。
きっとりっちゃんも大好きになります。
りっちゃん。ありがとう。末永く幸せに。
追伸
以前もらわれていった猫ちゃんの里親様が、りっちゃんが卒業しても寂しくないようにとりっちゃんぬいぐるみを作ってプレゼントしてくださいました。
私はこのぬいぐるみを見るたびに「りっちゃん元気かな?」とりっちゃんと里親様の生活を想像し、笑顔になれます。
里親様、支援者様、本当にいつも支えてくださりありがとうございます。